ヒラリラー 2017年北海道旅行記

3日目(8月7日)

ショートカットで札幌へ

いよいよ函館港に入港して北海道へ踏み入れたわけだが、早速ショートカットを使ってしまった。前回北海道旅行をした際には北東パス民の救世主である急行はまなすが走っており、22時に青森を出発して翌朝6時には札幌に着き、追加出費も急行券と指定席券だけという、まさに北東パスを北東パスたらしめていく最強列車だったのだが、残念ながら北海道新幹線の開業と共に北斗星と同じく廃止されてしまったのである。それの代替として北東パスユーザに好まれているのが追加出費6000円で青森から札幌まで移動できるフェリーと高速バスの組み合わせである。

まあ、はまなすが廃止されても北東パスで移動できなくなったわけでなく、青森〜函館間は特例として自由席特急券を買い足せば新幹線に乗れるし、函館本線は普通列車には追加料金なしで乗れるとJR側も譲歩してくれてはいるのだが、前者は北海道新幹線の特急券代がそもそも高いと言う問題があり、フェリーならが2000円(閑散期・学割)で超えられる津軽海峡が、倍の4000円近くかかってしまう問題がある。後者は追加料金なしは魅力的だし、鉄道旅行と言う意義的には函館本線を乗り継いでいきたいのだが、乗り継ぎダイヤが1日4本程度しかなく、8時間もかかってしまうのである。今回はすでに8日間の旅程でこれ以上伸ばせないことと、道北道東旅行がメインであるのでこの区間はショートカットと言う形で高速バスを使って攻略させてもらった。

高速バスが着くまで30分以上時間があったことから、買い出しのため近くのコンビニまで向かったのだが、いろはすが500mLだと108円なのに、2Lでは100円という逆転現象が起きていることに気づいてしまった。なぜ容量が4倍になると値段が下がるのだろうか…というわけで2Lのいろはすを買い込み、高速はこだて号に乗り込んだ。

高速はこだて号はゆったりとした3列シートで、出発早々にして消灯してしまい、ゆったりと寝ながら札幌駅まで向かうことが出来た。そう言えばはまなすでも指定席は減光運転していたなあ・・・

高速はこだて号 高速はこだて号

高速はこだて号車内 高速はこだて号車内

そんなわけであっという間に札幌に着いたのだが、この高速はこだて号は道北に向かう旅行者にとっては急行はまなすよりも優れている点がある。

それはズバリ、厚別ダッシュをしなくて済む点である。厚別ダッシュについては別途調べてもらいたいのだが、高速はこだて号だと札幌に着くのは5時35分、6時発の旭川行きに余裕を持って乗り換えることができるのである。

札幌から旭川・名寄を経由で稚内へ

札幌駅に入線してきた旭川行きの923D列車だが、列車番号の通り気動車のキハ40が使われていた。函館本線の札幌〜旭川間は全線電化しているので、これは何かの送り込みか回送に近い運用なんだろうか?札幌から旭川まで通しで運行される下り普通列車ってこれだけなんだよね。

電化区間を走る謎の気動車 電化区間を走る謎の気動車

こんな早朝に運行されるロングラン列車だから利用者も僅かと思いきや、意外と乗客乗っており驚いてしまった。けれど殆ど札幌周辺の通学通勤輸送だったようで、岩見沢を出るとガラガラになってしまった。

3時間ほど乗って旭川へ着いたが、やっぱ乗って思うのが旭川と札幌は遠いなあ・・・と

ここまでは比較的本数の多い幹線に乗ってきたのだが、ここからは宗谷本線である。次の列車は11:29発の快速なよろで、旭川で2時間半ほど待ち時間がある。ここでどうするかは何も考えておらず、近くのイオンに行ってさてどこで昼飯を食べようかと相談した結果有名な旭川ラーメンの青葉に行くことにした。青葉のラーメンは昔ながらのしょうゆラーメンで、有名なだけあって美味かった。時間もいい具合に潰れたので、駅のベンチでゆっくりしつつ、快速なよろが入線してくるのを待った。なよろの入線は出発の20分程度前で、その後は車内で発車を待ち、11:29定刻通り出発をした。

青葉のラーメン 青葉のラーメン

この快速なよろ、前に乗った特快きたみと同じく都市間連絡快速なのに気動車一両ってのが北海道の厳しさをよく表していますよね。まあ席はそれなりに埋まってはいたのだが・・・

サポ サポ

日本の北の果てへと向かう宗谷本線と言っても、名寄までは比較的都会・・・ではないが、人家もまばらに見え畑が広がっており人の気配を感じさせる風景であった。

特に剣淵の辺りは広大な畑に直線道路と一度降りて歩いてみたいほどであった。旭川から名寄はさほど離れておらず、快速を使ったと言うのもあるが大体一時間で着いてしまった。次の列車は14:52発の稚内行き、いよいよこの列車で稚内まで向かうのだが、これまた時間が空いており、2時間位時間があるのである。だが名寄で何をするかは事前に考えており、近くに名寄公園があり、そこにかつての排雪列車編成であるキロマキが保存されているため、そこに向かうことにした。

名寄公園近くの踏切から、稚内方面を望む 名寄公園近くの踏切から、稚内方面を望む

名寄公園までは1kmくらいで、旭川で荷物を預けたとは言え炎天下の中キャリーバックを転がして移動するのは辛かった。前の旅行の時は夏の北海道でも寒かったので、旭川より北だから大丈夫だろうと高をくくっていたのが間違いだった。名寄の市内はいい感じに寂れており、釧路とどっこい位な気がした。けれどポツポツではあるがビルや店もあったけれどね。名寄公園に保存されてたキロマキ編成は割と綺麗に手入れがされていた。去年の山陰旅行の際見た、大社駅のSLはボロボロだったからなあ

名寄公園へ行ってもまだ時間があったので本当は名寄公園に併設してあった北国博物館も行きたかったのだが、残念ながら定休日とあって入ることが出来なかった。公園のベンチは暑かったので、帰り道でスーパーで涼みがてら食料と北海道名物ガラナを買って、後は名寄駅の待合室でゆっくり過ごした。

キロマキ編成 キロマキ編成

名寄駅に稚内行きの普通列車が入線し、いよいよこれに乗って最北端まで向かうと思うとワクワクが止められなかった。ここからはキハ54で、根室本線の時もそうだけど本当に端っこまで行くとキハ40でなくキハ54がよく来る気がする。

名寄からは音威子府で1時間のドカ停があり、列車番号が変わるのもあるが、それを含んでも稚内までの所要時間は4時間57分。長い乗車時間になった。

いよいよ最北の駅へ いよいよ最北の駅へ

宗谷本線は旭川から名寄までは先述の通り、沿線に田畑や農村が見られるのだが、ここから北はまさに原生林。偶に着く駅も数十年も忘れられたかのように自然に帰った駅が多く、凄い所に来てしまったんだな…という気持ちが高まっていく素敵な所だった。

紋穂内の車掌車を改造した駅舎。ひび割れが尋常じゃない 紋穂内の車掌車を改造した駅舎。ひび割れが尋常じゃない

名寄から離れて行くに連れ智恵文、紋穂内と駅名も駅舎も沿線風景もワイルドさを増していき、1時間ほど走った所で音威子府駅に到着。音威子府には常盤軒と呼ばれる日本一美味しい駅そば屋があるのだが、ここの営業時間は10時から15時半までと5時間半しか営業していない。

残念ながら閉店していた 残念ながら閉店していた

しかも恐ろしいことにこの時間の間に到着する列車の数は僅か5本!その内4本が特急列車のため北東パス or 青春18でこの駅そば屋を訪れるのは非常に厳しいのである。特急で来たとしても、特急は停車時間が殆ど無いために、そばを食べた後数時間も次の列車を待たねばならず、どちらにしろ食べる難易度が高い駅そば屋なのである。…これってどうやって商売成り立ってるんだろう…?やっぱり車客や地元客が中心なのかな?

調べてみると近くの道の駅にも音威子府そばの店があることが分かり、そっちに向かってみると、こちらも閉店していたというオチが待っていたのであった。その後音威子府駅の前をふらふらと歩いていたのだが、駅前が寂れまくっており誰も歩いていないどころか、営業している店も3軒くらいしかない有様だった。名寄も閑散としていたが、音威子府は更にその上を行ってるな・・・

駅舎は立派なんだけどね 駅舎は立派なんだけどね

1時間停車なので、駅前をぐるぐるしてもまだ時間が余っており反対側のホームを観察したりしてようやく出発の時間が来た。音威子府を出て筬島・佐久までは天塩川が眼下に広がり、対岸の原生林と相まってまさに絶景だった。

音威子府~佐久 音威子府~佐久

列車後方からも、秘境感MAX 列車後方からも、秘境感MAX

佐久から先はまたちらほらと人の手が入った畑も見られるようになって来て、道中の駅も問寒別駅なんかは駅舎が新しくなっていて驚いてしまった。と思えば隣の糠南駅は板張りのホームに人が1人くらいしか入れないような小さなプレハブだけと、中々バライティーに富んで飽きない沿線と駅が続いて行った。

糠南駅、ここで降りた人もいた。 糠南駅、ここで降りた人もいた。

糠南駅を出ると安牛、南幌延、上幌延とボロボロ車掌車駅舎が続き、幌延駅では特急列車の対向待ちで10分停車、幌延駅はちょうど北緯45度に位置する町のようでした。反対側のホームで特急を撮ろうと張り込んでいたが、もし特急到着と同時に普通列車が発車したらどうしようかとかなりヒヤヒヤしましたねぇ~~~

幌延から先は下沼に止まり、下沼~豊富駅の間で車窓から利尻富士が見え、あまりの美しさに言葉を失いましたね。思わず写真を撮りましたが写真だとこの美しさはあまり伝わらないかもしれないなあ

車窓に映る利尻富士 車窓に映る利尻富士

この頃にちょうど日の入りを迎え、抜海駅に着く頃には真っ暗になっていた。抜海駅は稚内市に入る前最後の駅で、いよいよ日本最北の市である稚内市に入ります。南稚内をすぎるともうすぐ終着の稚内駅で、19:49にようやっと日本最北の駅である稚内駅に到着!運賃表を見ると名寄から稚内までは3990円。長い間乗ってきたなあ…としみじみしましたね。

稚内駅は各地からの営業キロが書いており、旭川からは259.4km、札幌からは396.2km、東京からは1547.9km、今日だけで400km、大宮を出てからは約1500kmを飛行機も新幹線も使わずに移動したと思うと、やっぱりこみ上げてくるものがありますね。

運賃表 運賃表

稚内駅 稚内駅

稚内についたのはもう夜の8時近く、すぐに宿に入って近くのラーメン屋でラーメンを食べると就寝しました。

3日目の宿、以木以 3日目の宿、以木以